11:ファンデ後の学業について寄せられた質問
KCLとUCLについて
・イギリス国内でのUCLとKCLの academic reputation の差はどれぐらいですか?
ちなみにUCLとキングスはライバル関係で、サッカー部では絶対に負けられない戦いとして言い聞かされてます。実際UPCからキングスIRに進んだ友達もいましたし、これが進学率に関わることはないはずです。
【UCL vs KCLの面白歴史】ちなみにUCLには創設者Jeremy Bentham のミイラがあるんだけど(結構怖い)このミイラの頭をKCL生徒が盗んでサッカーしたことがあったらしい。そのため今のミイラ頭は剥製になっており、まじ頭は別保管。
UCLの医学部生のフラットメイトはOxfordとCambridgeがなんとなく対抗してるように、UCLとKCLもなんか対抗意識がある…みたいなことを言っていました。
・KCLはキャンパスも分かれていて学生のコミュニティができにくいという話がありますが、それは本当ですか。またその点UCLはどうですか?
UCLの学生から:UPCはクラスが比較的小さいのと、授業時間が多いのですぐみんなと仲良くなれますよ!高校生に戻った気分でした。休みの日はクラスメートと遊ぶことが多かったです。大学に入るとサークルの方が友達になりがちですが、今でもUPCの友達と遊ぶことの方が多いかもです。
KCLの学生から:キャンパスが分かれていても、ソサエティ活動を通して幅広く交流を持てるため、学生コミュニティの形成・交流には支障がないように思います。特に今年度はコロナ対策で全てのソサエティ活動がオンラインに移行したので、キャンパスにいてもいなくても交友関係を築くことができます。また、キャンパスが分かれている、といってもほとんどが徒歩圏内・地下鉄で数駅程度なので、交流の支障になるほどではないと思います。
・UCLにはチュートリアルという時間はありますか?あるならばどのようなことを基本的に行っていますか?
Bsc Neuroscienceではチュートリアルがある授業とない授業があります。チュートリアルのあるタイミングとしては、一つの大きな単元が終わった時、あるいは試験前の総復習の時です。前者のチュートリアルでは、事前に問題が用意されており、その回答と解説を15人程のクラスでやる形式でした。後者は、学生たちが各々質問を持ち寄り、他の学生が答え、先生が修正を入れてくれるという形式でした。
所謂オックスブリッジ式のチュートリアル(教授と一対一で議論を深める時間)をチュートリアルと呼ぶか、もしくはセミナー形式の授業(先生と学生複数人で議論を深める時間)をチュートリアルと呼ぶ場合もあります。
その上で、UPCにおいては、文系では学期に数回チュートリアルとして課題について話し合う時間(改善点を考えたり、方向性を考えたりする)があります。また、学士になると、それぞれの講義(Lecture)の後に少人数での授業(Seminar/Tutorial)があります。教授と個別で話す時間に関して言えば、それとは別にOffice Hourを予約して教授と個別で話をしたり、個人担任の教授が学期に何回か様子見で個別に話す時間をとってくれたりします。
特定のコースについて
・KCL のwar studies は一般的に優秀であるというふうに聞いているのですが、それはどれほどですか。
回答の物差しにもよりますね。一般的に「優秀」さを測る、物差しとして使われる大学ランキングを三つ添付します。
《QS Top Universities (UK: Politics)》→[KCL 15th, UCL 44th]
《THE World University Ranking (UK: Politics and International Studies)→[ KCL 54th, UCL 14th]
《The Guardian: The best UK Universities 2021 (Politics)》→[KCL 5th, UCL 14th]
ご覧の通り、ランキングは項目や年度、集計方法によって大きく変動します。これらのランキングを単純に「優秀さ」として捉えるのであれば、KCLのIRの方が、UCLのIRより優れていると言えるかもしれません。ですが、ランキングの変動幅が大きいうえ、ランキングの基準の一つである学生満足度合いは、モジュール内容の変更や、オンライン学習となったことで変動する可能性が大いにあるため、あまり信憑性があるとは思えません。そのため、一般的な尺度をもとに、どちらのコースが優秀かどうかで進学先を決めるのではなく、自分が学びたいと思う学部に進学することをお勧めします。
私はUCLのIRコースを履修したことがなく、比較する経験がありませんが、KCLのIRには長い歴史と、戦争学部に属する特長があります。世界で唯一、安全保障や戦争学に特化した戦争学科に属するキングスのIRコースは、著名な教授や研究者が在籍するうえ、歴史や戦争、外交に国政、そして国際法と政治経済といった、他にはないIRモジュールを提供しています。私は、高校時代に外交官に憧れており、外交について学べるKCLに(とても単純な理由で)即決しましたが、国際関係論に加えて国際経済(必修科目)や国際法(選択科目)について学ぶことで、より多面的に社会について学ぶことができ、とても視野が広がりました。
また、二つのIRコースを比較してみたところ、UCLのPolitics and International Relations は、Bachelor of Science (BSc)なので、学部2年目から経済やデータ分析(Quantative Data Analysis, Qualitative Methods)が必修科目となります(ウェブサイト抜粋、以下参照)。その反面、KCLのInternational RelationsはBachelor of Arts (BA)なので、理論や学術的な分析が総合的に多いと思います。そのため、個人的な分析ですが、より統計学的なアプローチでIRを学びたいのであればUCL、そして歴史や文学的なアプローチでIRを学びたいのであれば、KCLが適しているのではないかと思います。
ですが、どちらの大学も世界的には「トップレベル」とみなされているので、変動する世の中の評判ではなく、自分が本当に学びたいと思う学部を選択することが最善だと思います。
確かに優秀というか国際政治・安全保障に関して関心の高い学生が集まってると感じますし、優秀な方も多いです。ただアメリカの学生の方が優秀かもという話も聞いたことはありますし、日本で安全保障に関心のある学生にも優秀な方はおられるので他より明らかに優れてるかと言われるとそうとも言い切れない気がします。世界中から優秀な学生が集まっており、セミナーで行われる議論のレベルや質にはいつも圧倒されます。ですが、戦争学部という大きな括りの中には生徒数の異なる複数の学科があるうえ、優秀かどうかは主観的なことなので、数量化するのが難しいです。そのため、あまり答えになっていない回答となりますが、私は人格的にも知能的にも尊敬でき、切磋琢磨できるクラスメートがいる戦争学部は総合的に優秀で、知的好奇心を思う存分追求できる恵まれた環境だと思います。
・KCLのthe department of war studies はコネクションも非常に優れていると聞いていますが、それは具体的にはどの程度でまた、どういうメリットがあるのでしょうか?
興味分野によるところはあるのでなんとも言えないですが、例えば日本の安全保障に関心があるのであれば学部生でも修士、博士の第一線でバリバリやってる方々にアクセスできたり、教授と直接話せたりと各自にメリットはあるかと思います。
戦争学部のコネクションがどのような程度で、どのようなメリットがあるかは、経験と比較対象がないのでお伝えできる事に限界がありますが、把握していることをお話しします。
戦争学部と関連する業界(安全保障、サイバーセキュリティ、政策シンクタンクなど)で働く人を呼んだキャリアイベントや、専門家をパネリストとして迎えたトークイベントは頻繁に実施されています。他にもLinkedinを活用して、戦争学部卒業生が働いている企業・機構にアプローチをすることも可能です。その点、戦争学部のコネクションは充実していると言えるかもしれません。そして、学部生でありながらもこの業界で著名な教授に直接アプローチできるのは大きなメリットだと思います。また、学部に関係なく、キングスというブランドを優遇する就活イベントや企業も多いので、学部と大学とそれぞれにメリットがあると思います。